あなたの生活のリズムは、朝型ですか? 夜型ですが? 生活のリズムが乱れがちと嘆く人は、朝は6時頃までには起きて仕事や学校へ行き、帰ってきたら食事、お風呂をすませて0時頃までには、ベッドに入るという生活が、理想であると考えているのではないでしょうか? そもそも夜型の人は、深夜や朝方まで活動しているので、生活のリズムが乱れているとは考えないと思います。

現代は電気のおかげで、いつでも明るく、娯楽もたくさんあります。むしろ夜の方が趣味や遊びを楽しめる人もいます。夜型の生活をおくることについて、次の日の仕事や学校に支障が出る程度とか、慣れてしまえば夜型でも問題ないと考えていると思います。

しかし、夜型人間は朝方人間よりも健康リスクが多いという研究結果があります。

人間は遺伝子レベルで朝方

人間は遺伝子レベルで朝型

人間は、松明やたき火などの火を用いるようになってから夜の活動が可能になりました。それまでは、朝日と伴に活動し、太陽が沈んだら、天敵を恐れながら洞窟や茂みなどに潜んでいたことでしょう。火を自由に扱えるようになったからといって、電気のようには扱えませんから、夜は活動をやめて休息していました。

ヨーロッパなどは、1日のなかで2回眠る習慣があったそうです。太陽が沈んだら休息し、深夜に起きて内職やお祈りをしてからもう一度朝まで眠っていました。このような習慣は電気が普及して後、現在の生活習慣に近いものになっていきます。

人間は遺伝子レベルで、体内時計というものが組み込まれています。体内時計は1日周期でリズムを刻み、ホルモンを分泌することにより意識しなくても日中は体と心が活動状態へ、夜間は休息状態へと切り替えます。

体内時計を支配しているのは、太陽の光です。朝、太陽の光を浴びることによって、体内時計はリセットされ、心身をコントロールするためのリズムを刻みます。海外旅行などで時差ボケを体験した人は、体内時計の存在を実感したことがあるでしょう。

太陽の光を浴びることによって心身が活動状態へと移行するということは、それに逆らうことは心身に負荷がかかってしまうのです。太陽光ではなくとも、強い照明やLEDは体内時計を狂わせる原因になっています。

なんとなくですが、夜型の生活を続けることは、体に悪そうですよね?

夜型人間は肥満や躁うつ病の健康リスクがある

夜型人間は肥満やうつのリスクが高い

夜型の人は、朝起きてから会社や学校へ行くまでの余裕がないので、朝食を抜いてしまうことが多いでしょう。朝食を抜くと体は、エネルギーを節約しようとするので脂肪の合成を促進しようとします。つまり、肥満になりやすいのです。また、夜遅くまで起きているので、深夜の食事や間食が多くなります。こちらも肥満につながる習慣です。

体内時計によりコントロールされているメラトニンは、朝、体内時計の指令で分泌が止まり、セロトニンの働きが強くなることにより体は活動状態に移行します。セロトニンには精神安定させる効果もあるので、夜型の生活が続き体内時計が乱れてしまうと、ストレスへの耐性が弱くなったり、躁うつ病のリスクが高いという報告があります。

社会に属しているからには、朝は決まった時間に起きる必要があるので、夜遅くまで活動していると睡眠不足になります。睡眠不足の状態とは、「脳が休みたい」と言っているのに無理矢理働かせている状態です。脳に負荷がかかり過ぎた状態では、創造的な思考作業や論理的な判断が困難になり、記憶力も低下するので仕事や勉強に支障をきたす恐れがあります。

さらには、免疫力の低下や糖尿病、心臓病のリスクも高まるなど、体にいいことはまずありません。

寝だめでは睡眠負債は解消できない

睡眠負債 という言葉を聞いたことがあるでしょう。睡眠不足が慢性的になり、心身が必要としている睡眠時間が確保できず、”負債”となって蓄積されていく状態です。人は起きている間、脳はプロスタグランディンD2という「睡眠物質」を作っています。ここでは詳しい説明は省きますが、睡眠物質によって、脳の覚醒状態は弱まり睡眠を欲するようになります。睡眠物質は眠ることにより分解され、脳はスッキリとした状態になるのです。

人間が必要としている睡眠時間は人それぞれなので、7時間で十分な人もいれば、9時間寝ないとスッキリしない人もいるでしょう。最近の研究で人間には、起きていた時間が長ければ、その分多くの時間眠っていたいという欲求があることが分かってきました。つまり、睡眠をコントロールする時計が2つあるということです。

起きていた分だけ長く寝たいという時計と体内時計では、体内時計が優先されます。平日に貯まった睡眠負債を休日に解消しようと思っても、体内時計が光に反応して、長時間の睡眠を阻害してしまいます。長時間、布団に入っていても睡眠の質が悪いので、睡眠物質が分解されずに残ってしまいます。これが、寝だめでは睡眠負債は解消できない理由です。

さらに悪いことに、寝だめをした翌日は寝つきが悪くなるので、睡眠サイクルが乱れてしまいます。この睡眠サイクルの乱れが、睡眠負債となって再び蓄積されてしまうという悪循環に陥ってしまいます。

いかがでしたでしょうか。夜型の方は健康リスクが多く、寝だめでは睡眠不足、睡眠負債を解消することができないことがご理解できたかと思います。良質な睡眠は、ベストなパフォーマンスを発揮するための重要な要素のひとつでもあり、真剣に向き合うべきでしょう。