ストレスを感じると脳は、「アドレナリン」と「コルチゾール」というホルモンをたくさん分泌するよう指令を出します。イライラを解消するにはストレスの原因を取り除くことが理想ですが、簡単なことではありません。イライラしているときは、脳が興奮状態にあり問題可決能力が低下しています。
ストレスがたまりイライラしているとき、体はストレスと戦おうとしてアドレナリンとコルチゾールを大量に分泌しするので、神経は高ぶりますますイライラすることになります。これらふたつのホルモンの役割を説明し、イライラを軽減してくれる食品を紹介します。
目次
身体を活発化させるアドレナリン
「火事場の馬鹿力」という言葉あるように、アドレナリンには普段は出せないような力を一時的に発揮するような効果があります。アドレナリンは活動状態をつかさどる交感神経を興奮させることで、例えば野生動物が命の危機を感じた時に「闘争か逃走か」という選択を瞬時に実行することを可能にします。脳や体のリミッターを外す一種の麻薬のようなものとも言えます。
アドレナリンは生死に関わるような状況で分泌されるということは、人が感じるストレスもそれ相応に危険なのです。現代人には、生死に関わるような危険に出会うことはまれです。しかし、精神的に負荷がかかる状況は増大しました。実際、ストレスが原因で自殺する人もあとを絶ちません。
アドレナリンの効果
アドレナリンは普段以上の身体能力を一時的に発揮したい状況で分泌されることから、身体能力が向上するような働きがあります。一方、必要度が低い器官の能力は抑制されます。アドレナリンには次のようなメリットとデメリットがあります。
アドレナリンのメリット
- 筋力が向上し、普段では発揮できない力がでる
- 心臓の動きが活発になり、心拍数が上昇する
- 気道が広がり、呼吸数が増える
- 血糖値が上がり、脳の覚醒状態が保たれる
- 脂肪燃焼が促進し、エネルギーが生産される
- 体温が上昇し代謝が上がる
- 鎮痛作用により、痛みが抑制される
アドレナリンのデメリット
- 末端部分の血行が悪くなる
- 内蔵機能が低下する
- 脳が興奮し混乱する
自律神経が乱れる危険あり
自律神経とは呼吸や代謝、消化、循環など自分の意思とは無関係に自律してはたらく神経系で、生命活動の維持やその調節を行います。自律神経が乱れると、活動しているときにはたらく交感神経と休息しているときにはたらく副交感神経の切替がスムーズにできなくなり、身体に悪影響をおよぼします。
ストレスによりホルモンバランスが乱れアドレナリンが過剰に長時間分泌されると、心身は常に興奮状態になり交感神経の働きが活発な状態が続きます。そのような状態が続くと自律神経が乱れて、自律神経失調症などの慢性的な症状が現れるようになります。
アドレナリンは枯渇する
アドレナリンは無限に分泌されるわけではありません。アドレナリンが枯渇してしまうと、無関心、無気力、感情鈍麻といったうつ症状が出てきます。
わかりやすい例をあげると、戦争を体験した兵士です。戦闘中、極度の緊張や身体能力を発揮するためにアドレナリンが大量に長期間分泌され、アドレナリンが枯渇してしまいます。帰還後はアドレナリンの枯渇によりPTSD(心的外傷後ストレス障害)やASD(急性ストレス障害)を発症してしまいます。
アドレナリンを増やす方法
アドレナリンの前駆体(材料のようなもの)となるのはドーパミンというホルモンです。アドレナリンが枯渇しないようにするためにはドーパミンを増やせば良いのです。
ドーパミンを増やす食品
ドーパミンはチロシンというアミノ酸から作られるので、チロシンを多く含む食べ物を摂取することでドーパミンを増やすことができます。
- 大豆製品
- 肉類
- 魚類
- ナッツ類
- 牛乳
- 乳製品
- 乳酸菌飲料
- ココア
コルチゾールの働き
コルチゾールもアドレナリン同様にストレスと戦うために分泌されるホルモンです。ストレスにともなって分泌されるので「ストレスホルモン」と呼ばれることもあります。生体活動には不可欠なホルモンで、次のような働きがあります。
- 低血糖の改善
- 皮膚やじん帯の炎症抑制
- 脂肪燃焼促進
一時的な分泌であるアドレナリンに対して、コルチゾールの分泌は長時間におよび、体内に蓄積されます。過剰なコルチゾールの生産が続くとそれまでフル稼働していた副腎皮質は疲弊し、コルチゾールを生産できなくなってしまいます。すると一転してコルチゾールが極端に不足した状態「副腎疲労」になってしまいます。
このようにコルチゾールは、ストレスに左右されやすいホルモンと言えます。しかしその一方で、強いストレスにさらされて過剰分泌されなったり、不足したりとバランスが崩れやすいホルモンでもあります。
副腎疲労による症状
副腎皮質が疲労すると起こる症状には次のようなものがあります。
副腎疲労による症状
- 疲労
- 体力の低下
- 思考困難
- 集中力低下
- 記憶力低下
- 食欲の増進
- 体重の増減
- 血糖値の増減
- 不眠
- 動悸・震え
コルチゾール増加による影響
コルチゾールが体内で増加すると食べたいものにも変化がでてきます。
コルチゾール増加による食べたいものの変化
- コーヒーなどカフェイン飲料を飲みたくなる
- 塩分の強いものを食べたくなく
- 甘いものを食べたくなる
- 脂肪分を食べたくなる
イライラが続くと疲れやすくなったり、頭がうまく働かないと感じたり、甘いものを欲しがるようになったりするのは、コルチゾールが影響してるのです。また、コルチゾールが増加すると幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の分泌が阻害されてしまいます。
コルチゾールの分泌を抑制する食品
コルチゾールは体内に蓄積されると悪影響を与えるとともに、過剰生産により副腎疲労を生じるので、イライラしているときはコルチゾールの分泌を抑制する食品を摂取するようにしましょう。
ビタミンCで副腎を活性化
ビタミンCは副腎を活性化させて、コルチゾールを減らしてくれます。疲れたときに酸っぱいものが食べたくなるのは、副腎のコルチゾールが増加しているからなのです。
ビタミンCを多く含む食品
- フルーツ(特にアセロラ、グァバ)
- 焼き海苔
- パプリカ
- ピーマン
- キャベツ
- モロヘイヤ
DHAで副腎を回復
DHAには副腎を元気にする作用があります。コルチゾールの多量生産で弱ってしまった副腎を回復するには、以下のような食品を食べるようにしましょう。
DHAを多く含む食品
- 青魚
- シソ
- くるみ
*
ストレスは放っておかずに発散・解決するとともに、ストレスホルモンであるコルチゾールをコントロールも重要です。ストレスを感じている人は、日頃からの食生活にビタミンCやDHAを多く食品を取り入れていきましょう。